《目次》
二つの『炎症』
昔の『不安』と現代の『不安』
患者さんの持ちやすい身体の『不安』
コントロールできる『不安』とコントロールできない『不安』
『不安』が身体に及ぼす影響:扁桃体
『不安』が身体に及ぼす影響:海馬
ストレスホルモンと炎症
『不安』に対応する具体的な方法
あなたの体調回復のために
あなたは朝起きるとき、パッと目覚めよく起きますか?
あなたは身体がだるかったり心がだるいこと、ありませんか?
慢性的な症状、たとえば頭痛や腰痛に苦しんでいませんか?
パーキンソン病(症候群)や慢性疲労症候群と言った原因不明の病気で悩んでいませんか?
もし上の症状でお困りでしたら、この記事がちょっとでも助けになると思います。
5分でいいのでお時間を取って、読んで、そして実行してください。
二つの『炎症』
ちょっと炎症についてサラッと復習です。
体内で炎症が起きているという考えがだんだんと広がりつつあります。
炎症には大きく分けて二つあり、『急な炎症』と『くすぶる炎症』です。
『急な炎症』はけがなどをしたときに見られる炎症のこと。これは怪我が治るにつれておさまっていきます。
『くすぶる炎症』というのは、体内でずっとジワジワくすぶっている炎症です。これが非常に厄介です。知らぬ間に、身体のあちこちに飛び火してしまいます。結果、原因が分からないけど、症状が出てくるとなります。
その原因の一つに『不安』があります。
実は、この『不安』は無視できないくらい大きな原因ではないかということが考えられています。
昔の『不安』と現代の『不安』
昔の生活、ここで言う昔はとっても昔です。なので、狩猟採集で生きていた時代だと思ってください。
そこでの『不安』を考えると、
どこかから猛獣がやってこないか?
毒クモに気をつけよう?
食糧、採ってくるかしら?
などですね。
この場合、短期的な『不安』となります。猛獣や毒クモへは「いま」気をつければいいし、食料の不安は外に取に行けば何とかなる(すぐに行動すれば結果が得られる)ので、今と不安との間に時間差はそんなにありません。
それでは現代の『不安』はどうでしょうか?
このまま生活はどうなってしまうのだろう?
老後が心配だ!
仕事で結果が出るか不安だ。
というように、今と不安との間の時間が昔に比べて長くなってしまいます。
患者さんの持ちやすい身体の『不安』
では、患者さんが持ちやすい『不安』はどうでしょうか?
今、パーキンソン病で苦しんでいて、この先の人生が不安
ガンから解放されたけど、またガンになるのではないかと言う不安
頭痛がおさまったけど、いつ襲われるか心配だという不安
身体に限定しなければ、家庭の不安、人間関係の不安、仕事の不安、さまざまな不安を持っています。
たくさんの人から話を聞きますが、やっぱり今と近い時間での『不安』ではなく、何か月から何年後と言った時間スケールの『不安』であることが多いです。
なかには、何か分からないけど『不安』だ!という人も多くいます。
コントロールできる『不安』とコントロールできない『不安』
『不安』にはコントロールできる『不安』とコントロールできない『不安』があります。
たとえば、年金問題どうなるんだろう?っていう不安はどうでしょうか?自分自身で年金を高くするとか一括でもらうということは出来ないですよね。だから、コントロールできない不安になります。
仕事中にケガをしないか不安だという不安は、仕事中に気をつければいいということになるので、コントロールできる不安です。
コントロールできる『不安』はそのほとんどが明確です。
明確なので『はっきりした不安』と言うことにします。
反対に、コントロールできない『不安』は、今の時点でどうすることも出来なかったり、現にその時になってみないとわからなかったりします。
そのような不安を『ぼんやりした不安』と言うことにします。
『はっきりした不安』は解決策を考えて、行動することで解決されます。
『ぼんやりした不安』は解決策が分からない。もしくは悩んでいる対象が分からないので、持ち続けようと思えば、ずっと持ち続けるようになります。
『不安』が身体に及ぼす影響:扁桃体
身体にとって重大な影響を及ぼすのが、この『ぼんやりした不安』なのです。
『不安』を思うと、情動をコントロールしている頭の扁桃体という部分がアラームを鳴らします。
危険が迫っているよ!といった『はっきりした不安』のときも、何か分からないけど不安だとか将来に対する不安といった『ぼんやりした不安』のときも同じように、扁桃体が反応します。
扁桃体は感情・情動、記憶などに関わる器官です。
『はっきりした不安』は対策を立てれば消えるので、扁桃体は休むことができますが、『ぼんやりした不安』を持ち続けていると扁桃体は休むことができずに誤作動を起こすようになります。
誤作動とは、ちょっとしたことでも不安を強く感じるようになります。情動のバランスがとれにくくなりますし、記憶力も悪くなります。
『不安』が身体に及ぼす影響:海馬
『不安』を受けていると、扁桃体のすぐそばにある海馬にも影響が出ます。
具体的には海馬が小さくなります。
海馬は記憶に関係しますので、やっぱり記憶力が悪くなります。
それが進むと、認知症となります。
ストレスホルモンと炎症
扁桃体がずっと働くようになると、ストレスホルモンを分泌するんですね。
ストレスホルモンが分泌すると自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れます。
交感神経の働きが優位になって、身体は緊張状態になります。
そして、白血球の顆粒球が増えて、活性酸素を必要以上に多く出すようになります。
その結果、細胞が傷ついたり、血管が傷ついて動脈硬化になったりします。
で、炎症がくすぶって持続する状態になります。
そうなると、炎症を消そうとして身体は必死になりますから、体力が使われて常に疲れた状態になってしまうんです。
『不安』に対応する具体的な方法
したがって、自分が今持っている不安は、『はっきりした不安』なのか、『ぼんやりした不安』なのかを知らないと対処できませんよね。
『はっきりした不安』なら、対策を考えて、行動する。
『ぼんやりした不安』なら、自分でコントロールできないので、手放して他の楽しいことを考えるように心の方向を変える。
そのためには、自分にはどんな『不安』があるのかを紙に書き出すことが最適です。
実際に紙に書き出してみると、自分が持っている『不安』が明確になり、自分でコントロールできるものと出来ないものに分けることができます。
そして、コントロールできる『不安』(はっきりした不安)には解決策を考えましょう。
コントロールできない不安『ぼんやりした不安』は紙に書き出すだけでいいです。後はその紙をくしゃくしゃにしてゴミ箱に捨ててしまいましょう。
あなたの体調回復のために
ストレス(厳密にはストレッサー)には、物理的なストレスと精神的なストレスがあります。
今回の『不安』は精神的なストレスになりますね。
物理的なストレスは、ずっと脅威になる事はあまりありません。身体に悪い食べ物、たとえばマーガリンやトランス脂肪酸などを常時食べていれば、ずっと脅威を受けていることになりますが、たいていはその時で完結します。
たとえば、どこかをぶつけたとか。
厄介なのは、精神的なストレス、特に原因のハッキリしない『ぼんやりした不安』などです。これも身体に絶え間なく脅威を与え、炎症を引き起こし、病気を作ります。
もしあなたが慢性症状やパーキンソン病(症候群)や慢性疲労症候群、もしくは悪性腫瘍(ガン)でお困りなら、この精神的ストレスとなる『不安』についてよく考えてください。
あなたの体調回復のために、出来れば「今」やってくださいね。
体調の回復はゆっくりかもしれませんが、焦らず丁寧に、自分の身体と心を大切に生きていただけたらうれしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
あなたが幸せで健康でありますように。